私がオフィスビルで受付嬢をしていた際に出会った「伝説のバイト」の話
今回は、私が学生時代に出会った「伝説のバイト」の話をしたいと思う。
私は学生時代、オフィスビルで受付のバイトをしていたことがある。
いわゆる受付嬢というもの。
オフィスビルといっても都心にあるような巨大なビルではなくて、10階未満の小さなもの。
主に企業の支店があり、残った空き部屋を会議場レンタルとして貸し出していた。
私はそこで、大学の授業が終わったら週4ほど夕方から夜までバイトをしていた。
「伝説のバイト」との出会い
で、そのバイト先で私は「伝説のバイト」に出会った。
その「伝説のバイト」は私の後に入った後輩バイトだった。
私は彼女の指導役として、彼女に付きっきりで仕事を教えた。
彼女が「伝説のバイト」と呼ばれていた理由は・・・?
で、そこで、次に気になるのが、どうして彼女が「伝説のバイト」と呼ばれていたのか?ということだと思う。
彼女がどうして「伝説のバイト」と呼ばれていたかというと・・・理由は単純明晰。
それは、このオフィスビルの中で後世に語り継がれるレベルの美少女だったからである。
彼女は北川景子をもう少し幼くして、可愛らしさを強調したような、男性からしたら理想の女性のようなタイプの人。
それに、笑顔が可愛く、コミュ力が高い。
相手の目を見てしっかりとコミュニケーションを取り、しかも嫌味じゃない接し方をする。
しかも、すれ違うたびにイイ香りがする。
そんなK子に男たちが悩殺されるのは当たり前のことで、女の私でも惚れそうになるくらい可愛らしい女性だったのである。
オフィスビル関係者のみの狭い界隈ではあるが、その中で毎日「伝説のバイト」(以下、K子と表記する)の話で持ちきりになるくらい影響を与えた人物だった。
それまでは鬱蒼としたオフィスビルだったが、K子がいるだけで何だか華やかな職場になったように感じた。
K子はモテモテだった
そんなK子は、やはりモテた。
というか、めちゃくちゃモテた。
オフィスビル内の未婚の男性ほとんど(もしかしたら既婚者も?)が、彼女にベタ惚れだった。
どう見ても完全に釣り合っていないのだが、「自分でもK子を彼女にできる!」と自信満々な勘違い男たちが必死にK子にアプローチしていたのである。
基本的に受付へは会社の鍵を渡して、すぐ帰るのが当たり前。
なのに、この勘違い男たちはK子と話す機会を作ろうと、窓口で必死に長話をしていくのである。
5分10分ならまだしも、中には30分くらい話す勘違い男もいた。
ちなみに、私が1人で受付をしていた時は、彼らはすぐに帰宅していた。
私が受付で「お疲れ様ですー」と言ってもいつも無視するおっさんも、
K子が「お疲れ様ですっ♡」と言ったら、満面の笑顔で「お、おおお、おつかれ~っす!デュフフ」などと上機嫌に返事を返していた。
まあこの露骨な扱いの差も、K子ほどの美少女なら無理もない。
おっさんの長話を最後まで聞いてあげるK子
K子は、勘違い男たちの長々とした会話をしっかり最後まで付き合ってあげていた。
私が「適当にあしらって大丈夫だし、早めに会話切り上げた方が楽だよ」って言っても「え~、でもあの人に申し訳ないし…」と遠慮がちに言っていた。
実は、K子が男たちをホイホイしている自分に優越感を持っていて楽しそうに会話をしていたのか・・・。
それとも、仕事がサボれるからわざと長々と会話をしていたのか・・・。
真相は闇の中である。
ちなみにK子がつかまっている間、仕事をしていたのは私だけだった。
その後のK子は・・・
でも、K子はその後もしっかりと働いてくれた。
窓口で長話をして、仕事がほとんどできていなかったり・・・。
おっさんたちのオフィスに荷物を運んだらいつまで経っても帰ってこなかったり・・・。
仕事が忙しい時でも、仕事をせずにずっとスマホをいじって、にこにこ笑顔でいたり・・・。
はた迷惑なバイトではあったが、男たちからの評価はうなぎ登りだった。
ある日、突然K子がバイトを辞めてしまう
でも、男たちを次々悩殺していたK子だったが、バイトを始めて半年で辞めてしまった。
というのも、付き合って2ヶ月ほどの彼氏とデキ婚して、大学を辞めたからである。
K子に彼氏がいた、デキ婚して仕事を辞めた、という事実は結局男たちには伝えなかった。
でも、なんとなく空気感で察してしまった人もいたかもしれない。
K子がいなくなった途端、私の職場は元の鬱蒼としたオフィスビルに戻り、受付に来る人が皆さみしそうだった。
以前は私の挨拶を無視していたおっさんも、「お疲れ様…」と返事を返してくれるようになった。
でも、見てわかるほど、意気消沈して帰るその姿を見て何だか私もさみしくなった。
良くも悪くも、あの小さなオフィスビルに多大な影響を与えたK子。
私が辞めた今でも「伝説のバイトK子」の話が、あの小さなオフィスビルで語り継がれていることだろう・・・。